だしの風味、味噌や醤油の味わいのなかに、われわれ日本人は「うま味」を身近に感じてきました。
「うま味」は、甘味、酸味、苦味、塩味とならぶ五つの基本味のひとつ。
主な成分はグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸です。
実は、うま味物質はトマトやチーズなどをはじめ多くの食品に含まれているのですが、長い間、欧米では「うま味」という味の存在は認知されていなかったのだとか。
近年、欧米でもうま味への関心が急速に高まり、研究もすすんで、「UMAMI」という国際語が広く使われるようになってきました。
現在、日本の料理人たちが国内外で「うま味サミット」を開催するなど、さまざまなかたちでうま味の普及につとめる活動がさかんに行われています。
そして各国の素材や料理と融合した新しいスタイルも生まれています。
今回、ひとつの試みとして、近年のガストロミー界をリードする注目のスペイン料理と、日本料理のうま味との融合を体感するイベントが開催されました。
スペイン「エル・ブジ」で修業された経験を持つ山田チカラ氏が、スペイン料理に日本のうま味を加えた料理を創作。その料理を紹介します。
(写真上から順に)
「カルソッツ」カタルーニャのねぎ焼き。にんにく、ナッツ、パプリカを効かせたロメスコソースと、昆布〆にした焼きねぎを合わせて
「生ハムとマンチェゴチーズ」ふたつのうま味食材の盛り合わせ
「カジョス」スペイン風モツ煮。干し椎茸を加えて
参加者からは「どれもスペインならではの料理スタイルなのに、日本酒に合いそう」という感想も聞かれ、
もとの料理とは一味違う「うま味」を使いこなすことで、味の幅がこんなにも広がり、ユニークで新しい料理が生まれることを体感しました。
昆布のだしで洋風スープを作ってみたり、違う国の発酵調味料を使ってみたり。
自由な発想で「うま味」を使いこなし、楽しんでみるのはいかがでしょうか。