ただいま進行中!小田原の浜の活力再生プラン

8月25日、水産ジャーナリストの会の取材に同行し、小田原市早川にある「小田原漁港」と「公設卸売市場」を視察してきました。そして、小田原市が町ぐるみで取り組む「浜の活力再生プラン(通称:浜プラン)」について、くわしい話をうかがいました。

P1030977

小田原市は箱根山の東にあって、相模湾に面しています。箱根の山々や丹沢の森からは清らかな水や豊かなミネラル分が川へそして海へ流れ込んできます。また、相模湾は日本三大深湾の一つで、多種多様な生物が生息している海。親潮、黒潮が河川水と混ざり合って餌のプランクトンを大量に発生させるため、豊かな漁場となっています。年間の水揚げ量は3000トン前後。主な魚種は、アジ、サバ、カマス、ブリ、イワシ、ヒラメ、アンコウなど約60種。春・夏・秋・冬、それぞれの旬の味が楽しめます。さらには、良質のプランクトンをたくさん食べて育つ小田原の魚は、昔から甘く、風味もよく、脂ののりがいいことでも知られています。

ところが、小田原の鮮魚は、首都圏から近距離であるにもかかわらず、都内の魚屋やスーパーにはあまり出回っていないこと。また、日本有数の観光地である箱根や伊豆に隣接している場所なのに、現在は、小田原や早川はそれらの地への通過点で終わってしまっています。

そこで小田原市では、昨年、漁業者や水産加工者、商業関係者などで構成する「小田原の魚ブランド化・消費拡大協議会」を結成。多くの人に“小田原の魚”のおいしさをもっと“知って”“買って”“食べて”もらうため、いろいろな取り組みを進めています。

その1つが、「小田原城前魚(しろまえざかな)」。小田原の地魚ブランドを立ち上げ、鮮魚の消費拡大とともに、小田原の鮮魚を使ったさまざまな加工品も開発し始めています。

さらに、市内や県内、首都圏の人たちにもっともっと小田原に来てもらえるよう、漁港の整備事業もスタートさせました。新たなニーズに対応できる荷さばき施設や加工施設に加え、一般消費者向けに、水産物の直売・飲食・情報機能をもつ新たな「交流施設」の新設も予定されています。この施設の完成は4年後だそうですが、県内や首都圏から小田原漁港めざしてやってくる人が大幅に増えれば、小田原・早川は単なる通過点ではなくなることでしょう。おいしく、楽しい交流施設の登場に、大いに期待したいですね。

P1030963

魚市場加工工場で、商品化に向けて開発中のカマスの骨とり専用器具を使って、おいしい小田原のカマスの骨を抜きました。