「残したい!伝えたい!日本の味!我が家の味!」
食ラボで研究中の家庭料理シリーズ。6月は、“おにぎり、おむすび”をとりあげました。
今回、食ラボ研究員に披露してもらったのは、①思い出の味やふるさとの味、または我が家の定番や人気の味。②変わりむすび、アイデアむすび、ちょっと変わった具材のマイむすび。
まずは、思い出の味、我が家の定番や人気の味より。
「子供のころ、出かけるとき持たせてもらう母のおむすびは、いたまないようにと、梅干しと赤紫蘇(梅干しを漬けたときのもの)を刻んでご飯に混ぜ、にぎったものと決まっていました。梅干しが真ん中にあると、そこだけしょっぱいからと父がいやがったため、刻んでご飯全体に混ぜ込むようになったようです。私は、時間がたってべったり貼りついたのりが好きでなかったので、まわりにとろろ昆布をつけてもらっていました。ほかの家族にはのりを巻いていましたが、1枚をそのまま巻くと、食べたときのりがちぎりにくいからと、母はわざと小さくちぎったのりをにぎったご飯に貼り付けるんです。これはちょっとしたアイデアだなぁと思います」と岩崎さん。
「別にのりが嫌いなわけではないんです。作りたての温かいおむすびに、パリパリの焼きのりならOKで、今もさっと食べたいお昼などに、にぎって食べています。好きな具は鮭やたらこ、昆布のつくだ煮、もしあればいくら・・・など。あとは、飲んだあとの焼きおにぎりでしょうか」
「昔、母の作ってくれたおにぎりは、鮭やおかかが多かったです。時折り、炊き込みご飯やチャーハンを作った日は、残りご飯でおにぎりをにぎって冷凍しておき、後日食べたのを思い出します」というのは鈴木さん。
「今、我が家の定番おにぎりというと、鮭フレークと明太子を混ぜた具、ちりめんじゃこや大葉、カリカリ梅、ごまをご飯に混ぜ込んでにぎったものなど。また、たらこを加えた溶き卵を炒り卵にし、それをご飯に混ぜ込んでにぎったものも人気があります」とは飯塚さん。
運動会などのときの定番おにぎり「めはりむすび」を披露してくれたのは、長島さん。まわりをぐるっと高菜で巻き、中にはちりめん山椒を入れますが、高菜の芯の部分を刻んでご飯に一緒に混ぜ込むのがポイント。
「私の実家の広島では、おにぎりによって、焼きのりを巻く場合と味つけのりを巻く場合がありました。西日本は味つけのりをよく食べますね。梅干しだったり、おかかをしょうゆで味つけたものを具にしてにぎり、味付けのりで巻くんです。しかも、おむすびは必ず俵型です」というのは久保田さん。
このほか、久保田家で最近よく作るおむすびの1つが「しょうゆ大豆とじゃこのおむすび」。少々かためにゆでた大豆をきじょうゆに漬けておき、フライパンでからいりして、じゃこと一緒にご飯に混ぜ込み、にぎるというもの。やはり俵型ににぎるそうですが、こちらは味つけのりより、焼きのりのほうが合うそうです。
そしてもう1つ、今回久保田さんはふる里の思い出の味も再現してくれました。広島県民ならみんな知ってる、「山賊」こと、「山賊むすび」!!普通のおむすびの3倍以上の大きさのおむすびは、全国的には「爆弾むすび」という呼び名で知られますが、広島周辺での呼び名は「山賊むすび」と決まっています。市内にあるうどん屋『むさし』の名物で、大きなおむすびの三方に、梅干し、昆布、鮭の3種類の具がそれぞれたっぷり入り、のり1枚を使って巻いてあり、必ずたくあん2切れが添えてあるとか。「山賊むすび」は、お店で食べるだけでなく、カープの観戦に持参したり、帰省したらお土産で持ち帰ったりもするそうです。
次に、我が家の変わりむすび、アイデアむすび、ちょっと変わった具材のマイむすびをご紹介しましょう。
以前、イタリア料理のイベントで作り、好評だったという「グリンピース入りおにぎり」と、「生ハム巻きおにぎり」を披露してくれたのは、秋元さん。グリンピースはバターで炒めてから炊きたてのご飯に混ぜ込み、にぎったもの。生ハム巻きのおにぎりの具には、クリームチーズを入れています。
また、フランス土産の“トリュフ塩”をバターとともにご飯に混ぜ込み、にぎってくれたのは鈴木さん。
バターとご飯、生ハムとご飯、チーズとご飯、そしてトリュフとご飯・・・、どの組み合わせも意外なくらい、相性ぴったり。ご飯のふところの広さを感じました。
飯塚家でもクリームチーズを使います。クリームチーズにおかかをまぶし、具にしたもの。ほかにも空豆とベーコンの炊き込みご飯のおにぎり。梅酢と梅干しを加えてご飯をたき、さらに新しょうがのせん切りと炒りごまを混ぜ込んでにぎったもの・・・など、アイデアおにぎりはどれも具だくさん。
先頃、2階に住む息子さん一家からお裾分けされたのが、なんと!今流行の「おにぎらず」だったという成瀬さん。TVで見て作ってくれたそうですが、おにぎりとはまた違う姿や味にびっくり。そこで今回は、にぎらないおむすびを披露してくれました。焼いた鮭をほぐして自家製の鮭フレークをつくり、これをご飯に混ぜ込んだら、巻きすにのせたのりにのせ、すしのように巻くというもの。丸く巻くのはつまらないので、わざと三角になるように巻いてみたそうです。おにぎらずとはまた違う「おにぎり巻き」。これもまたアイデアですね。