「残したい!伝えたい!日本の味!我が家の味!」⑨

『残したい、伝えたい、日本の味!我が家の味!』

食ラボで研究中の家庭料理シリーズ。
9月は、“ご飯料理”をとりあげました。

今回、食ラボ研究員に披露してもらったのは、
①思い出の味やふるさとの味
②我が家の味や人気の味

中には「我が家は断然白いご飯派。味のついたご飯はほとんど食べなくて・・・」というメンバーも
いましたが、炊き込みご飯、混ぜご飯、粥、リゾット・・・など、
今回もバラエティに富んだご飯料理が集まりました。
さらに今回は、食後のデザートにもお米を使ったものが登場しました。
食ラボおやつ③ 如意巻きとライスプディング

また、9月1日は防災の日。その翌々日に食ラボが行われたため、
災害時、非常時用の、“ポリ袋&鍋1つ”
もしものときの防災ご飯”にも挑戦してみました。
いざというとき、きっと役立ちますのでこちらもチェックしてみてください。

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まずは“思い出の味、ふるさとの味”から。
飯塚さんのふるさとの味はお赤飯。といってもささげの入った一般的なお赤飯ではありません。新潟県柏崎あたりでは、赤飯というと普通は“金時豆の入ったしょうゆ味のおこわ”をさし、スーパーなどでもこれが“赤飯”(“長岡赤飯”や“しょうゆおこわ”と呼ばれることも)の名で売られているそうです。ささげの入った赤飯もあるそうですが、こちらは主に和菓子屋さんなどで見かけるのだとか。
金時豆は水に浸してもどし、硬めにゆでておきます。もち米に、ゆでた金時豆と、しょうゆ、ゆで汁も少々加えて炊飯器で炊き、炊き上がったら白ごまをふります。ささげと違い、金時豆だと米が赤く染まらないため、お店や家によっては食紅を使って赤くしたり、砂糖を加えた甘い味に仕上げるところもあるようです。金時豆のお赤飯は、ささげと比べると、豆の存在感があるのも特徴でしょうか。初めて見るお赤飯に、他のメンバーもびっくり。みんな盛んに試食していました。ところ変わればお赤飯も変わる。おもしろいですね。

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金時豆のお赤飯
 
牧野さんの思い出の味は「中華風ちまき」。子供の頃、実家のお正月は親戚が総勢30名前後も集まる、にぎやかなお正月だったそうで、そのときお母さんがよく作っていたのがこれ。豚ひき肉、干ししいたけ、にんじん、たけのこ、グリンピースなどを油で炒めてから調味料(砂糖、酒、しょうゆ、塩)とスープを加えて煮ておきます。これを、別に炒めたもち米に加え、汁気がなくなるまで炒めたのち、小分けして小さめの三角形に切ったアルミホイルに包み、蒸し上げます。子供たちもかりだされ、みんなで包んで大量に作り、にぎやかに食べたのもいい思い出だとか。そして今では、牧野家の息子さんも大好きなおばあちゃんの味になっています。

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中華風ちまき
 
もう1つの思い出の味は「五目炊き込みご飯」。実は、子供の頃は白いご飯が苦手だったという牧野さん。食事の最後にご飯だけどうしても残ってしまい、お茶漬けにして無理やり食べたこともあったほど。ところが、炊き込みご飯になると必ずおかわりするほど大好物だったとか。にんじん、しいたけ、ごぼう、こんにゃくはどれも小さめに切り、鶏肉も細切りにして調味料(しょうゆ、酒、みりん、塩)につけておき、これらをといだお米に加えて炊き上げ、絹さやや三つ葉をのせればできあがり。

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五目炊き込みご飯
 
続いて“我が家の味&人気のご飯料理”。
牧野家では、家族もみな炊き込みご飯が大好き。先の「五目ご飯」のほかにも、季節によってさまざまな炊き込みご飯を作ります。春は「たけのこご飯」、夏は「たことしょうがご飯」、秋は「栗ご飯」や「松茸ご飯」。そしてもう1つ定番になりそうなのが「鯛の炊き込みご飯」。鯛の炊き込みご飯というと、料理屋さんで登場するような、鯛一尾を丸ごと入れて土鍋で炊き上げたものを想像しがち。普段着の味とはちょっと違うイメージでしたが、「切り身の鯛を使えばいつでも手軽に作れますよ」と牧野さん。鯛の切り身は先に塩と酒をふって10分おき、米はといで水加減し、昆布を加えておきます。炊く前に昆布は取り出し、うす口しょうゆ、みりんを加えてサッと混ぜ、鯛は水気をふき取ってから(鯛から臭みが出るので、しっかりふき取ること)のせて炊きます。炊き上がったら皮や骨をとり、身をほぐし、三つ葉を加えます。鯛ならではの上品なうまみがふわっ。なるほど、切り身の鯛なら普段から手軽に作ることができますね。

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鯛の炊き込みご飯
 
飯塚家の場合、炊き込みご飯も作りますが、普段はより手軽にするためにも、普通に炊いたご飯に具を混ぜ込む“混ぜご飯”をよく作ります。中でも家族に大人気の混ぜご飯が「牛肉ときのこの混ぜご飯」。牛肉としめじをだし汁、砂糖、酒、しょうゆで煮て、炊いたご飯に汁ごと混ぜ込むだけ。

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牛肉ときのこの混ぜご飯
 
ほかにも、じゃこをバルサミコ酢、オリーブオイル、しょうゆ、塩に5分ほどつけてから、炊いたご飯に混ぜ込む「じゃことバルサミコ酢の混ぜご飯」。
どちらも汁ごと混ぜ込むため、ご飯は硬く炊き上げるのがポイントだそうです。手軽さもですが、この場合の牛肉のように、具そのものにしっかり味を入れたいときは、炊き込むより、あとで混ぜ込んだほうがいいようにも思いました。

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じゃことバルサミコ酢の混ぜご飯
 
長島家では、炊き込みご飯の日は必ず一度に3種類作っています。それを可能にしているのが3つの羽釜!1合炊きの小さな羽釜は、かつてご主人のお母さんからのいただきものだそうですが、この大きさが便利で、しかもおいしく炊けるので毎回大活躍しているそうです。炊き込む具は、季節によって、買い出し先の市場の魚介類によっても変わりますが、今回は「とうもろこし、大豆、緑豆」「かに、白まいたけ、ふき」「たこ、あさり、せり」の3種類。とうもろこしは生のまま身をはずし、緑豆は30分水につけ、大豆(ゆでたもの)、といだ米、昆布だし、酒、塩とともにお釜に入れて炊き込みます。かに、白まいたけ、ふき(ゆでたもの)は、といだ米、かつおだし、酒、しょうゆ、塩とともにお釜に入れて炊き上げます。そして3種目。あさりだけ先に酒蒸しし、殻から身を外しておきます。といだ米、酒、塩、酒蒸ししてうまみの出た汁も加えて水加減し、あさり、たこ(ゆでたもの)をのせて炊き上げます。せん切りしょうがを混ぜ込み、せりをのせれば完成。固形燃料を使うので、卓上で炊けるのも便利。目の前で炊き上がりを待つ時間もワクワクするそうです。「3つ並べて炊いて、家族4人でいろいろな味を楽しんでます」。家族そろって食いしん坊の長島家ならではの食べ方ですね。それにしてもいいなぁ、このミニ羽釜!

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①とうもろこし、大豆、緑豆 ②かに、白まいたけ、ふき ③たこ、あさり、せり
 
一方、イタリア仕込みの本格リゾットを披露してくれたのは秋元さん。お米はカルナローリ米を使いました。イタリア生まれのカルナローリ米は、アルデンテ状態を長く保つことができるため、リゾットに最適な米といわれています。作り方は、玉ねぎをオリーブオイルで炒め、米も加えてさらに炒めたら、温めておいたブイヨンをひたひたに加えてしばらく待ち、米が汁気を吸って徐々にふくらんできたら、しめじ、フンギ・ポルチーニ(乾燥タイプを水でもどしておく)、ポルチーニのもどし汁も少しずつ加え、鍋底が焦げないよう、木べらで鍋底を切るようにしつつ14~15分。
「混ぜないで、あくまでも鍋底を切るように。リゾットは基本的にあまり混ぜないことが大切なんです。混ぜ過ぎるとお米のでんぷん質が溶け出すからで、イタリア人はこれを”ゴムのような味になる“といって嫌います」と秋元さん。
米がふくらみ、ねっとりしてきたところで米を噛んでみて、ちょうどいいアルデンテ状態(米の芯が残っていながら硬すぎない)になっていたら、仕上げにバターとすりおろしたパルミジャーノ・レジャーノを投入。鍋をゆすって力強く混ぜ合わせ、そして完成!!
作っている間、部屋中にポルチーニの香りが漂い、なんとも食欲をそそること。みんなも吸い寄せられるように鍋のまわりに集まり、リゾットのできあがりを見守りました。

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リゾット
 
そして最後に紹介するのは、久保田さん特製の中国粥。朝はお粥を食べて1日をスタートする人も多い台湾。お粥は胃をいたわりつつ、目覚めさせてくれます。さまざまなお粥がありますが、今日のお粥もその1つ。米と水は1:10の割り合いにし、鶏むね肉と干し貝柱(もどしたもの)を加え、約2時間、最初は中火で、あとは弱火でコトコトコトコト・・・。米粒が割れて、まるで花が咲いたようになったら、クコの実を加えてできあがり。現地では油条(揚げパン)をちぎって入れますが、今回は代わりにワンタンの皮を揚げてトッピング。ねぎ、香菜、ザーサイものせていただきます。さまざまなご飯料理の試食でちょっぴり疲れた今日の胃にもぴったり。なんともやさしい味でした。

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中国粥
 

特別編 ポリ袋&鍋1つ、もしものときの防災ご飯

防災ご飯
◎用意するもの
米、水(飲用)、ポリ袋、鍋、ゆでるための水(飲用でなくてもOK)、カセットコンロ

 ※ポリ袋は、ジッパー付きの保存袋や厚手のポリ袋などを使用。薄手のポリ袋の場合は破れやすいので、念のため2枚重ねて使うことをおすすめします。
◎作り方
①米と同量の水(米1合なら水も1合)を袋に入れ、ジッパーを閉じるか、上の方をしばり、30分ほど浸水させる。

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※米はといだものが望ましいが、いざというときは水の節約のため、とがずに使う。
※水の代わりに、野菜ジュースやトマトジュースを用いれば洋風ご飯になる。
②鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したら①を入れ、袋ごとゆでる。
米の量や火力にもよるが、沸騰後、約30分で炊き上がる。
※米をゆでるための水は必ずしも飲用でなくてもいいので、いざというときは雨水や川の水を
利用できる。

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作ってみたら、食べてみたら・・・・
とにかく一度やってみようということで、1つは水で、もう1つは野菜ジュースでためしてみましたが、これが想像以上の炊き上がり&味もなかなかなもの。ですから、いざというときの防災ご飯に限定せず、キャンプなどアウトドアのご飯炊きにもおすすめできます。ただ、今回はといだお米を使ったこともあり、ヌカ臭さに関してはコメントできないのと、沸騰後30分間は袋ごとゆでる必要があるため、燃料の点が少々心配です。ガスや電気がストップした中で作ることを考えると、カセットコンロと、ガズボンベのストックを日ごろからしっかり用意しておきたいですね。

防災ごはん3 10.20.13