残したい、伝えたい、日本の味!我が家の味!②

『残したい、伝えたい、日本の味!我が家の味!』

食ラボで研究中の家庭料理シリーズ。3月は、我が家の“ポテトサラダ”と“切り干し大根を使った煮物や惣菜”をとりあげました。

 

まずはポテトサラダ。代表して3人のお宅の味が披露されました。さらには、番外編で150年前のイタリアのレシピより、“ロシアサラダ”が。また、キューピーマヨネーズのHPに掲載中の“キューピー直伝ポテトサラダのつくりかた”のレシピでも、ポテトサラダを作ってみました。

 

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まずは久保田家の「昔ながらのポテトサラダ」。じゃが芋は皮ごと、1つずつラップに包んでレンジにかけ、皮をむきます。にんじんは皮をむいてレンジにかけ、じゃが芋とともにフォークでつぶし、きゅうりは輪切り、ハムは短冊切り。じゃが芋、にんじんの粗熱がとれたら、きゅうり、ハム、からしマヨネーズ(市販品)を加えて混ぜ合わせ、酢、砂糖、塩、こしょうで調味します。もう30年くらい前から、久保田家ではこの作り方だそうです。ただ、昔はじゃが芋を鍋でゆでていましたが、あるときレンジ加熱したほうがホクホクになっておいしいことに気づき、この方法に変えたそうです。皮もするりとむけます。また、子供が小さかったころはマヨネーズ。そのうちマヨネーズとからし。その後、からしマヨネーズを使うようになったとか。じゃが芋を、マッシャーなどを使わずにフォークでつぶすのは、なめらかなところとお芋感の残るところが混在するから。にんじんも包丁で切るより味がなじむからです。また、砂糖を隠し味に入れるのもポイント。

 

そして岩崎家の「ポテトサラダ我が家風」。じゃが芋、きゅうり、にんじん、ハムの具に加えて、ゆで卵とスパゲッティが入るのが岩崎家。スパゲッティは4~5㎝長さにポキポキ折ってゆで、加えますが、日本製の昔ながらのスパゲッティがお好み。ゆでるとほどよくやわらかくなり、混ぜ込むと“ボテボテ感”が出るところがまたいいのだとか。すべての具とマヨネーズを混ぜ合わせ、酢、塩、こしょうで調味します。

 

 

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牧野家の場合は、ドイツ風ポテトサラダともいえる「ジャーマンポテト」。ご家族がマヨネーズを苦手なこともあって、作るなら、マヨネーズを使わないこのドイツ風になるそうです。じゃが芋は1つずつラップに包み、竹串が通る程度にレンジ加熱し、2~3㎝大に切ります。ソーセージ、玉ねぎ(縦に薄切り)をオリーブオイルで炒め、じゃが芋も加えて炒めたら火からおろしてボウルに移し、ドレッシングであえます。ドレッシングは、オリーブオイル、りんご酢、粒マスタード、塩、こしょう。酢は、隠し味に甘みがプラスされるよう、りんご酢を使うのがポイント。

 

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番外編その1は、イタリア料理や文化に詳しい秋元さんの「ロシア風ポテトサラダ」。 イタリアやスペインなどでポテトサラダといえば、もっぱらロシア料理によく使われるビーツが入っているロシア風ポテトサラダのことを指すのだそうです。           生のビーツは硬いので40~50分はゆで、皮をむいてさいの目に切ります。じゃが芋、にんじん、さやいんげん(イタリアではグリンピースが入ることが多い)は、それぞれゆでてさいの目(もしくはそれに近い形)に切り、ピクルスも切り、ケッパーは塩漬けの場合は塩抜きします。そして、ビーツ以外の具をすべて合わせ、マヨネーズであえたら、一番最後にビーツを加えます(最初からビーツを加えると、サラダが真っ赤に染まってしまうからです)。

このロシア風ポテトサラダは、すでに150年前のイタリアで流行っていたこともわかっています。銀行家で文筆家、美食家、“イタリア料理の父”と呼ばれたアルトゥージがのちに出版した自分の本にも、このポテトサラダのレシピをのせ、そのように説明しているそうです。ところで、“ロシア風”といいながら、実際のロシアには昔も今もこのようなポテトサラダはないのだとか。ではなぜこの名に?おそらく、生の玉ねぎをあまり好まないイタリア人が、玉ねぎの替わりにビーツを使ったのがこのサラダの始まりで、ビーツが入るから“ロシア風”と名付けたのでしょう、というのが秋元さんの推察です。

 

 

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番外編その2は、「キューピー直伝ポテトサラダ」

具は、じゃが芋、玉ねぎ、にんじん、きゅうリ、ハム。調味料は、塩、こしょう、マヨネーズ。ここでも、じゃが芋やにんじん、玉ねぎはレンジ加熱をすすめています。玉ねぎは、生で加える人も多いと思いますが、レンジ加熱で辛みが消え、甘みが出るので、お子さまでも食べやすくなるとあり、なるほどと思いました。

キューピーおすすめの、具材とマヨネーズの黄金比は10:2(総重量10に対し、マヨネーズが2)だとか。また、マヨネーズを加えるタイミングも大事で、じゃが芋の粗熱がとれ、ほんのり温かさを感じる程度(50~60℃)のときにあえるのがベスト。じゃが芋とマヨネーズの味がなじみ、味もしみこみやすくなるからだとか。

食ラボでもレシピ通りに作ってみました。下ごしらえが終わったすべての具材を合わせて計り、マヨネーズの分量を出し、上記のタイミングで加えてみました。想像していたよりマヨネーズの量が少なめだったのが驚きでしたが、温度に注意して混ぜ込むと、なるほど、よく味がなじみ、じゃが芋の味もひきたっているのがわかりました。

 

昔から、どこの家でも作ってきたポテトサラダですが、ちょっとしたポイントをおさえることで、さらにおいしく作れることもわかりました。

 

切り干し大根の煮物(岩崎家)

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切り干し大根はもみ洗いしてから水から煮てもどし、水気をしぼっておきます。切り干し大根、にんじん、さつま揚げ、昆布、干ししいたけを、だし汁、酒、砂糖、しょうゆで煮ます。

◎煮物好きのご主人のために、よく作る1品だそうです。ごくごくオーソドックスな味ですが、お酒のお菜にもするため、甘さをおさえるのと、切り干しは炒めずにそのまま煮るのがポイントだそうです。

 

切り干し大根の信太巻き(久保田家)

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鶏ひき肉に、もどした切り干し大根、にんじん、きくらげを加えて練ります(ここでは調味はしない)。これを広げた油揚げに均等にのせ、巻いてかんぴょうでしばり、酒、しょうゆ、切り干しのもどし汁で煮てから、切ります。

◎鶏肉やほかの野菜も入ると、ちょっとしたおかずになるので、来客時に作ったり、子供たちのお弁当に詰めたりもしていたそうです。

 

切り干し大根の和風サラダ(秋元家)

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切り干し大根はよく洗ってから、水につけてもどし、水気をしぼります(新鮮な切り干しならゆでずに使い、状態によっては熱湯をサッとかけることも)。これを、塩昆布、赤唐辛子とともに、水少々加えたすし酢(市販品)にしばらくつけておきます。

◎手間がかからず、あっという間にできる1品。塩昆布からいいだしとうまみが出て、ちょうどよい塩加減になるのがミソだそうです。

 

切り干し大根と菜の花の酢の物(成瀬家)

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切り干し大根は水でもどしてから熱湯をかけ、水気をしぼり、菜の花はゆでます。だし汁(かつおと昆布)、砂糖、うす口しょうゆで合わせ酢を作り、切り干し大根をつけて20分以上おき、食べる直前に菜の花を加えます。

◎季節によって青い野菜を替えれば1年中楽しめる酢のもの。小松菜だったり、きゅうりだったり、夏場はゴーヤがおすすめだそうです。

 

切り干し大根とせりのみそ汁(成瀬家)

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切り干し大根は1時間ほど水でもどし、水気をしぼります。先にごま油で炒めて香ばしさを出してから加え、みそ汁の具に。最後にせりを生のまま加えます。

◎野菜だけの具なので、焼き干しでだしをとり、コクを出すのがポイントだそうです。

見るからにつややかな焼き干しは、青森(東津軽郡)産のマイワシ(時期によってはカタクチイワシ)。鮮度抜群の焼き干しは、だしをとっただけで捨ててはもったいないので、これもみそ汁の具としておいしくいただきました。

 

切り干し大根と生ハムのサラダ(飯塚家)

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切り干し大根は水でもどしてから熱湯をかけ、水気をしぼります。ゆでたスナップえんどうと菜の花、生ハムとともにドレッシングであえ、パルミジャーノをふりかけます。ドレッシングはオリーブオイル、りんご酢(または、白のバルサミコ酢)レモン汁、塩、粒マスタード、おろしにんにく少々。

◎切り干し大根をワインに合うお料理にしてみたいと思い、作ってみた料理だとか。 本来、お酢とワインを合わせるのは大変難しいのですが、甘みのあるりんご酢を使い、パルミジャーノを使ったことでワインに合うお料理になったそうです。

 

切り干し大根の煮物(牧野家)

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かつおと昆布でだしをとっておきます。水でもどした切り干し大根、油揚げ、にんじん、昆布(だしをとったものを細切り)とともに、切り干し大根のもどし汁も加えただし汁で煮て、酒、みりん、しょうゆで調味します。

◎ひじきの煮物とともに、煮物好きな牧野家でよく作る副菜の1つ。多めに作って、翌朝、息子さんのお弁当に入れることも多いとか。

 

切り干し大根のキムチ風(市田家)

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切り干し大根はもどさずにサッと洗います。きゅうりはたたき、少し塩をしてから(こちらは洗わない)切り干し大根と合わせ、おろしにんにく、おろししょうが、しょうゆ数滴、韓国唐辛子で調味したら、そのままつけておきます。

◎韓国の知り合いから教わった料理だそうです。今の時期より、きゅうりのおいしい夏場に作る方がさらにおいしくなるとか。