塩の研究6「今度こそ塩テイスティング開始!」

塩の基本知識を何回かに分けて勉強し、並行して、少しずつ塩のテイスティングを始めたのですが、思わぬところで問題が発生(詳しい経緯は、塩の研究⑤にあり)。残念ながら何回かは失敗に終わってしまいました。そして、試行錯誤ののち、ようやく、待ちに待った塩テイスティングを開始しました。さぁ、今度こそ!

 

A、そのまま味をみる。     ごく少量を舌にのせて比較。

B、水に溶かして飲む。     ミネラルウォーターに一定量の塩を加え、よく溶かしてから比較。

C、ご飯と合わせ味をみる。  炊いたご飯を塩むすびにして比較。

D、調理して味をみる。      毎回いくつかの食材を選び、シンプルな調理に塩を用いて、その

                    味を比較。肉は焼いて比較。魚は刺し身用を用い、生で比較(天

ぷらを除く)。野菜は生のままか、ゆでてから塩をできるだけ均等

に振って比較。

 

“にがりを含む海塩は甘い”って聞くけど、本当?

にがりを多く含む海塩は、塩なのに(ほんのり)甘い。そんなふうに漠然と思っている人は多いのではないでしょうか。食ラボの研究員たちもそうでした。ところが、実際にテイスティングを始めてみると、一概にそうとは言えないことがわかりました。

 

テイスティングAの、舌にのせたときの最初の味の印象は、塩によっては、「思っていた以上にしょっぱい」「かなり強烈な塩気を感じる」「濃く、しっかりとした塩気がある」「キーンと耳に響くようなしょっぱさ」・・・、といった感想でもわかる通り、意外なことに、相当しょっぱい塩が多いのも事実です。

しょっぱさ以外に別の味わいも感じられ、びっくり!

ところが、これらの塩は、口に含んで少したつとまるみや甘みを感じたり、うまみを感じるなど、味わいが変化していく塩も多く、「一口目はしょっぱいが、その後まろやかになってくる」「最初、強い塩気を感じたが、あと味に甘みを感じた」「しょっぱいが、スキッとして、あと味はさっぱり」・・・など、第一印象とは違う評価も加わりました。

 

一方、塩によっては、最初の味から“ややまろやか”あるいは“まろやか”に感じられた塩もありました。これらの塩には、「塩気の中に甘みを感じる」「塩気は強くても、味に丸みがあるので、まろやかな印象」「やさしい塩気を感じる」…といった評価が寄せられました。

 

塩がとれた周辺環境も、塩の大きな個性に・・・

また、塩の味の中にかなりの苦味を感じた塩もあります。成分表を見ると、ほかの塩よりにがりの含有量が多い塩でした。藻塩系の塩には、その名の通り、昆布や海草類の風味が感じられました。石灰の味を感じた塩は、調べてみると、サンゴ礁の地層がある海の塩でした。ほかにも、鉄その他の硬い鉱物類の味が感じられる塩(きっと、近くに鉱物を産出する土地があるのでしょう)や、石や岩、あるいは硫黄の風味が感じられる塩までありました。

数々テイスティングした塩の中には、「しょっぱさより、苦味や渋みがまさってしまっている」「まろやかというより、ぼやけた味」「味に深みがない」「食べたあとまで、苦さが舌にいつまでも残る」「苦く、重い味がする」「金属っぽい味を強く感じる」・・・など、食ラボ研究員が少々辛口評価をつけた塩もありました。これらの塩に関しては、コメント中のしょっぱさ、苦味、まろやかさ、甘さ・・・などは、どれも“おいしい”と感じた塩の中にもある要素ですが、それらの強弱やバランスの良し悪しによって、塩の味や印象の評価が別れたものと思われます。

 

いずれにしても、にがりを多く含む塩は、ただ単純にしょっぱい塩ではなく、しょっぱさとは違う味わいがいくつか含まれている塩といえるでしょう。また、塩がとれた海や周辺の山や土地の環境が、塩の味に与える影響も思った以上に大きいことがわかりました。

それにしても、塩の味がどれも1つ1つ違い、こんなにも個性的だったとは!これからの味の比較がますます楽しみです。

 

水に溶かすと、また印象がガラッと変わる塩

そのままなめたときに(テイスティングA)塩気がきつい塩は、水に溶かしてもやはりしょっぱさが強いだろうと思っていました。ところが、この予想は見事にくつがえされました。水に溶かしたとたんにガラッと味が変わり、不思議なくらい甘く、まろやかになる塩も多かったからです。「まろやかでおいしい」「いつまでも飲んでいられる気がする」 「ほんとにこれが、あのしょっぱかった塩?」「あと味がやさしく、余韻を感じる」「強烈なうまみがある」・・・など。 この変わりようには、みな驚くばかりでした。一方、最初からまろやかだった塩は、水に溶かしたとき、やさしいうまみがそのまま保たれる塩と、少々ぼやけて、印象が薄くなってしまう塩に別れました。

 

実際の調理では、水に溶かす以外にも、だし汁と合わせたり、煮物に用いたりするため、塩の味はさらに変化するかもしれません。食ラボでも、今後の研究でぜひ試してみたいと思っています。

 

おむすびに合う塩は、いったいどんな塩だろう?                          

 

 炊きたてのご飯を塩で握った、シンプルな塩むすび。ご飯と塩の味が際立つ、原点ともいえるおむすびですね。そんなおむすびには、どんな塩が合うのでしょうか。

食ラボでは、現在、さまざまな塩で試し、おむすびの味を比較中です。人それぞれ、好みも違えば、その日によって、あるいは季節によっても印象が変わる可能性もあるため、同じ塩で何回か試したり、塩の名前を伏せて試したりして、おむすびに合う塩を公平に判定中です。せっかくの機会なので、次回は、食ラボ研究員たちの選んだ「おむすびに合う塩」を発表しよう、と思っています。さぁ、どんな塩が選ばれるでしょうか。もう少々お待ちください。