食ラボおやつ① ムッツィのパンドーロ

◎食ラボおやつとは・・・

月に一度、食ラボ研究員が集まる日、実験後のブレイクタイムにいただく軽いおやつのこと。新顔の旬の果物や地方菓子、研究員紹介のスイーツなど、どれも市販のものですが、ちょっと珍しいものや、評判のよかったものをサイトでも紹介していこうと思います。

食ラボおやつ① ムッツィのパンドーロ

最近日本でもよく見かけるようになった「パネットーネ」とともに、イタリアのクリスマスケーキにあたるのが「パンドーロ」。クリスマスケーキといっても、クリームやチョコレートで華やかにデコレーションされたケーキや、ブッシュ・ド・ノエルをイメージしていると、あまりにも違い過ぎてびっくりします。デコレーションらしきものは一切なし。ケーキというより、見た目はむしろ大きなパン。もっとも、イタリア語で“パーネ”はパンという意味なので、最初から菓子パンか焼き菓子と思うほうが正解かもしれません。

ミラノ発祥の「パネットーネ」が、さまざまなドライフルーツ類を混ぜ込んで焼き上げるのに対し、何も入れずに、ひたすらシンプルに焼き上げるのが、ヴェローナ発祥の「パンドーロ」。パンドーロの“ドーロ”とは“黄金の”という意味で、卵黄とバターをふんだんに使っているため、中はまさに黄金色をしています。さらに、パンドーロは八角の星形の焼き型を使って焼くのと、粉砂糖をたっぷり振りかけて食べるのがお約束です。

さて、そのパンドーロが12月の食ラボおやつに登場!食ラボ研究員Aさんの紹介で、イタリア“ムッツィ”の本格パンドーロを手に入れることができました。クリスマス前でしたが、一足お先にみんなでいただくことにしました。

素敵な模様の包み紙をあけると、ビニール袋に入った大きなパンドーロが目の前に!すると、とたんにふわ~っといい匂い!開封していないビニール袋の上からでも、わかるほどです。パンの匂いに加え、ヨーグルト風のちょっと酸味のある匂いが鼻をくすぐります。

さっそく食べたいのは山々ですが、パンドーロの場合、食べる前にすることがあり、これには最初のビニール袋が関係してくるとか。さらに切り方にもコツがあるそうなので、さっそくA研究員に見本を見せてもらいました。まずは、パンドーロの袋の上の方を開き、同封されている粉砂糖の袋を開けて、粉砂糖を全部パンドーロの袋の中へ入れてしまいます。さて、ここからが本番。ビニール袋の口をしっかり握って、縦に横にシャカシャカ、シャカシャカ・・・、何度も振るのです。パンドーロ全体に粉砂糖がまぶされ、真っ白になって、袋の底に粉砂糖がほぼ残っていない状態になればOK。最初、やけに大きなビニール袋に入っているなぁと思いましたが、こんな大事な役割りがあったんですね。

そして、いよいよパンドーロを袋から取り出し、星形の溝に沿って縦にナイフを入れ、切り分けたら、あとは食べるだけ。

-5-6-4


写真では、粉砂糖をまぶした大型パン、あるいはざっくりとしたスポンジケーキに見えるかもしれませんが、食べてみるとまったく別物でした。パンドーロはパネットーネ同様、パネットーネ酵母(※)と呼ばれる天然酵母を用いた発酵菓子。ほんのりとした甘さの中に独特の風味があり、ふわっと焼き上がった生地そのものが味わい深く、いくらでも食べられそう。
結局この日、1㎏のパンドーロは、クリスマスを待たずに食ラボ研究員たちの口にすっかり納まってしまいました。

※パネットーネ酵母
北イタリアの特定の地域でしか培養しづらいといわれる、非常にデリケートな天然酵母の1つで、400年かけて種継ぎを繰り返し、現在まで引き継いできたもの。扱いは非常に難しく、発酵、熟成には高度な技術と勘が必要。また、別の気候のところではすぐに変質してしまうため、長い間、国内外へ持ち出されることはなかった。これを用いて焼き上げると、保水性、防腐性、防菌性にすぐれているうえ、乳酸菌と共生しているため保存性も高い。
◎MUZZI(ムッツィ)のパンドーロ
MUZZIは、ペルージャにある1795年創業のパスティチェリア(お菓子屋)の老舗。夏~秋の始めまでに予約注文しておくと、11月下旬~12月始めに届く。パンドーロ (1kgのみ)3,990円。そのほかにもパネットーネ (1kg)4,725円、(500g)3,675円(すべて2013年の参考価格。2014年は未定)
問い合わせ先: (有)メルカート maiya-mercato21@aioros.ocn.ne.jp