塩の研究 はじめに | 塩の研究 1 | 塩の研究 2 | 塩の研究 3 | 塩の研究 4 | 塩の研究 5
塩の研究 6
国内外の塩の中から一度に数種を選び、いくつかの方法でテイスティング。
塩そのものの味を比べるほか、さまざまな食材との相性も探っていくことにしました。
毎日使わない日はないほど身近でおなじみの調味料にもかかわらず、これまで同じ条件で味を比べてみる機会はありそうでなかったこと。塩を前に、みんなちょっと緊張の面持ち。と同時にワクワク・・・。塩によってどんな違いがあるのか、大いに期待もふくらみます。
B、水に溶かして飲む。 ミネラルウォーターに一定量の塩を加え、よく溶かしてから比較。
C、ご飯と合わせ味をみる。 炊いたご飯を塩むすびにして比較。
D、調理して味をみる。 毎回いくつかの食材を選び、シンプルな調理に塩を用いて、その
味を比較。肉は焼いて比較。魚は刺し身用を用い、生で比較(天ぷらを除く)。野菜は生のままか、ゆでてから塩をできるだけ均等に振って比較。
<使用する食材例>
・肉(鶏肉、豚肉、牛肉、仔羊肉)
・野菜(じゃが芋、にんじん、きゅうり、トマト、キャベツ、さや豆類・・・他)
・魚(かつお、いか、貝類・・・他)
・浅漬け(きゅうり、かぶ・・・他)
・だし汁 ・潮汁
・天ぷら(えび、いか、野菜各種)
準備の段階から、早くも難題が噴出!
食材を切ったり、ご飯を炊いたり、調理したり・・・。テイスティングのための準備は、さすがに手早く、慣れたもの。なにしろ料理研究家ぞろいの食ラボですから、みんなで手分けして行えば、あっという間に準備完了・・・の予定でしたが、思わぬところに難題が待ち受けていました。
1つめは、塩の混ぜ方や振り方をどうするか・・・でした。たとえば塩むすび。普段なら、各自の経験値で塩を手につけ、ご飯を握ればすむところですが、今回はそうはいきません。そこで、まずはきっちり塩とご飯を計ることにしました。そして、塩がご飯に均一に混ざるよう、ボウルの中で混ぜ合わせてから握るようにしました(何種類も比較するので、ほんの一口大ずつラップに包み、茶巾絞りの要領で握りました)。肉など、ほかの食材についても同様に、まずは塩や肉をきちんと計り、肉は先に焼いて(油は使わず)から、ボウルの中で塩と合わせ、できるだけ均一に塩味がつくようにしました。
1つクリアしたら、またもや新たな難題が・・・。
次なる難題は、混ぜ込む塩の分量でした。通常、“誰もがおいしく感じる塩分量”は0.9~1%と言われていますので、まずはそれで試しました。すると・・・、「うす味でちょうどよいが、塩の味の差はわかりにくい」「それぞれの塩の特徴を感じにくい」「味がぼやけて、差がわからない」…など、全員一致でお手上げでした。そこで次に2%塩分量で試すと、今度はどうでしょう。全体的にしょっぱくなり過ぎて、再び味の差がわからなくなったのです。何度か試行錯誤した結果、最終的に落ち着いたのが1.5%塩分量です。いつもの味より、多少しょっぱめかもしれませんが、塩の味が感じられ、それぞれの差もわかりそうということで、以後はこれで試すことになりました。想像していた以上に、塩のテイスティングはむずかしく、奥深そうです。
ほかにも、「塩をふったらすぐに試食しないと、時間経過とともに味が変わってしまう」という意見
が出れば、「そうだそうだ」と即実行。以後は、準備ができたら、とにかくすばやい試食を心がけました。また、おいしさをキャッチする舌がにぶらずに識別できる範囲となると、1度に試せる塩の数は限られます。気候や体調によっても印象が変わることが予想されるため、今後も、同じ塩を何度か繰り返しテイスティングし、食材と塩のおいしい相性を探っていきます。
なにしろ食ラボ研究室は、本物の実験室でコンピューターが出す科学的データではなく、ひたすら食いしん坊研究員たちの舌と経験が頼り(ときには勘も)です。けれども、食いしん坊たちの勘ピューターだからこそ出せる人間くさ~いデータをお届けできるようにしたいと思っています。