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塩の研究 6
レシピの“塩少々”ってどのくらい?
料理教室などで、料理初心者の人たちから「レシピによく出てくる“塩少々”って、いったいどのくらいなんですか?」と質問されることがあります。“塩少々”とは、親指と人指し指2本の指先でつまんだ量をいい、実際量はおよそ小さじ1/8~1/10(約0.5g)とされています。ただ、これはあくまでも目安で、つまみ方やその人の指の太さによっても違ってくるので、一度自分の指ではかってみて、どのくらいか知っておくと便利です。一方、味見をしたときや仕上げに味を調えるときの“塩少々”は、そのときの料理の状態やその人の好みで加える分量になります。この場合は、数値に頼り過ぎず、少しずつ加えて味を調整し、入れ過ぎないようにするのがコツです。このほか、“塩少々”とよく比較される“塩ひとつまみ”は、親指、人差し指、中指3本の指先でつまんだ量をいい、実際量はおおよそ小さじ1/5~1/4(約1g)とされています。
同じ小さじ1でも、塩によって重さは違う
“塩少々”は上記のように目ばかり・手ばかりではかるとして、小さじ1、大さじ1の重さはどうでしょうか。「食品成分表2013 資料編」(女子栄養大学出版部)その他のデータにもあるように、塩の場合、塩粒の大きさや、さらさら具合によって、重さが違ってくることがわかっています。なぜ違うのかというと、「見かけ比重」(「かさ比重」ともいう)がそれぞれ違うからで、粒の小さい塩やさらさらした塩は、計量スプーンの隅々まで詰まるのに対し、粒の大きい塩やしっとりした塩はすきまができるので、同じ1杯なら軽くなり、分量が減ることになります。
そこで、食ラボでも計量スプーンとはかりを使って、実際の塩の重さをはかってみることにしました。ちなみに上記の文献のデータでは、精製塩などのさらさらした塩(食塩その他)は、小さじ1=6g、大さじ1=18g。にがりを含むしっとりした塩(あら塩、並塩)は、小さじ1=5g、大さじ1=15gとなっています。
<食ラボの結果> ※それぞれ3回ずつ計測し、最も多く出た数値を採用。
A さらさら&小粒塩(精製塩=食塩) | 小さじ1=5g | 大さじ1=15g |
B さらさら&小粒塩(市販の焼き塩=海の精) | 小さじ1=5g | 大さじ1=15g |
C しっとり&小粒塩(ケ ゙ランド) | 小さじ1=4g | 大さじ1=10.5g |
D しっとり&大粒塩(ケ ゙ランド) | 小さじ1=3.5~4g | 大さじ1=10g |
E その他・・粉状の塩(雪塩) | 小さじ1=2g | 大さじ1=5g |
食ラボの計測結果は、参考文献の既存データとは多少異なった数値になりました。Aの精製塩もBのにがりを含む塩も、それぞれ既存データより低めの数値に。Bはもともとにがりを含むしっとりした塩ですが、さらさらした焼き塩タイプになっているため、Aの精製塩とまったく同じ重さになりました。C・Dはにがりを含むしっとりした塩なので、やはりさらさらした塩に比べると軽めで、粒が大きいほどより軽くなりました。例外はEです。Eはパウダー状の塩で、粒子がもっとも細かい塩なのに、ほかに比べるともっとも軽く、同じ小さじ1、大さじ1が、半分以下の重さでした。
食ラボの計測結果は、参考文献の既存データとは多少異なった数値になりました。Aの精製塩もBのにがりを含む塩も、それぞれ既存データより低めの数値に。Bはもともとにがりを含むしっとりした塩ですが、さらさらした焼き塩タイプになっているため、Aの精製塩とまったく同じ重さになりました。C・Dはにがりを含むしっとりした塩なので、やはりさらさらした塩に比べると軽めで、粒が大きいほどより軽くなりました。例外はEです。Eはパウダー状の塩で、粒子がもっとも細かい塩なのに、ほかに比べるともっとも軽く、同じ小さじ1、大さじ1が、半分以下の重さでした。
塩粒の大きさは、調理や味に影響するか?
塩粒の大小によって、調理や味にどう影響するのか、実際に食材と合わせて比べてみました。粒子の大きさの違う3種類の塩を、それぞれ鶏(手羽中)肉に振り、振りやすさを比べたり、実際に肉を焼いて、それらの味も比べてみました。
A 粉状(パウダー状) B 小粒(顆粒状、一般的な大きさ) C 大粒(六面体、2~3m m 大)
<食ラボの結果> (食ラボ研究員の評価より)
Aの塩は、「粒が細かすぎて振りにくい」「まんべんなく振るのはむずかしい」「手でつまんだ時点で固まってしまうので、均等に振りにくい」「振った食材に塩がベタッとつくので、意外に塩辛くもなる」という意見がほとんどでした。が、中には「分量を微調整しやすいので、自分好みの味になる」「溶かして使うときには、溶けやすそう」という意見もありました。
Bの塩は、ほぼ全員が「いつも使っている塩の大きさで、慣れている大きさということもあり、もっとも振りやすい」「均一に振ることができる」。
Cの塩は、「振るというより乗せる感覚」「粒が大きすぎて、計量スプーンで“すり切り”状態にするのは無理」「均等に振ったつもりでもかたよる」「均等には振りにくいので、下味をつけるのには向かない」「塩が溶けにくいので、肉に塩味がつくまで、時間がかかる」「かたまり肉のローストや長時間煮込みにはよさそう」「食べるとき、カリカリした塩の食感を感じておもしろい」「味のアクセントになる」「塩と肉のおいしさが両方味わえ、口の中で混ざり合っておいしい」
これらの結果から、塩粒の大きさによって、振りやすいものと振りにくいものがあること。均一に振れるか振れないかで調理しやすさに差が出たほか、味にも差が出ることもわかりました。粒の大小によって向く調理法、向かない調理法がありそうです。